映画『最強のふたり』※ネタバレあり

自分づくり

あらすじ

実話を元にした映画です。

スラム街出身の黒人青年・ドリスは、失業保険をもらうために介護職の面接を受ける。それが、事故により首から下が麻痺した富豪・フィリップとの出会いであった。
失業保険さえ貰えればいいドリスは、介護の知識や経験がなく、フィリップに対してもブラックジョークで笑い飛ばす。

翌日、書類を受け取りにフィリップ宅へ向かうと、豪華な住み込み部屋へ案内された。ドリスが不思議に思っていると「一ヶ月の試用期間を設けたい」との話をされる。
病人扱いされる事に辟易していたフィリップは、内心ドリスの事を気に入っていた。

服装や環境、年齢や人種、音楽の好みに至るまで2人は全く違っていたが、価値観の違いに衝突しながらも相手の事を親身に思い交流を深めていく。

当初、周囲の人はドリスの採用を強く反対していた。心配したフィリップの友人からドリスは身辺調査をされ、過去に刑務所へ入っていたことが発覚したが、“自分に同情していないところがいいんだ“と、フィリップは伝える。
気さくで飾らないドリスに、フィリップ以外の人間も次第に心を開いていく。

感想

冒頭は薄暗く重さを感じるシーンが続き、そこから雰囲気が一転。茶目っ気ある会話とテンポの良い音楽と共にストーリーが始まります。ここまで、入りシーンの印象が強い映画はなかなか無いです。

フィリップが友人と会うシーンで、なぜドリスを採用したのか語るシーンが好きです。
「そのままケータイを渡してくるんだ」とドリスとの出来事を具体的に語るのは、それがよほど嬉しかったんだと感じます。

夜中に、2人でパリ市街を歩くシーンも好きです。ここもとても印象に残る場面で、2人にとって大切な思い出である事が伝わります。

ドリスが仕事の合間に、絵を描くシーンもテンポが良く面白いです。音楽に合わせて2人の交流が描かれ、良き関係性に変わっていくことがわかります。
ドリスが描いた絵は、それが2人の交流で作られた新しい価値観であり、楽しいものであると分かるのが好きです。

フィリップの誕生日シーンも好きです。今までつまらないと感じていた誕生日が、ドリスという新しい感性によってフィリップにとっても、周囲にとっても楽しいものになっていく様は見ていて楽しいです。

ドリスを家族の元へ送り出し、フィリップの生活が暗く悲しいものへと変わっていくシーンは切ないです。ドリスの方は、家族仲も仕事も安定しているだけに、どうするのが2人にとって正解なんだろうかと考えてしまいます。

クライマックスで冒頭シーンへと繋がっていく見せ方は、実話を元にしているとは思えないほどドラマティックな演出です。
悲しみの縁にいるフィリップをドリスは連れ出し、以前と変わらず接するシーンが好きです。ドリスの深い友情が滲み出ています。
映画では最後のプレゼントとばかりに、文通相手とのデートをセッティングして去っていくドリスも素敵でした。

好きなシーンが多すぎて、何度観ても楽しめます。
リメイク版『人生の動かし方』もありますが、私はこちらの方が好きです。
何度観ても面白いと感じる、イチオシの映画です。

タイトルとURLをコピーしました