さまざまな影響を受けるHSPは眠りについて悩みがちです。睡眠不足が続くことは、HSPでなくとも過敏な状態に陥ってしまいます。自分にとっての最適な睡眠時間を見つけること、質の良い睡眠をとることは食事と同様に生活の土台として重視して欲しいところです。
睡眠中に身体は何をしているのか?
1980年代アメリカの研究者による、ネズミに断眠をさせる実験が行われた。ネズミは一時的にエサを過剰に摂取したものの、10~20日ですべてのネズミが死亡した。
ネズミや人間に関わらず、生物は睡眠によって脳や内臓などの疲労を修復をしています。
また日中に脳が働くことで、大量の老廃物が発生します。老廃物の中には、アルツハイマー病の原因と考えられている物質も発生しています。脳の老廃物除去システムは、起きている時と比較して睡眠時には10倍以上活性化しており、記憶の定着だけでなく脳の掃除を行ってくれているのです。
レム睡眠とノンレム睡眠とは
大まかに言うと
- ノンレム睡眠(深い眠り)…脳は活動していない。肉体的疲労を回復する。適正な睡眠時間を確保した場合に、睡眠の前半に多くなる。
- レム睡眠(浅い眠り)…脳は記憶の整理をするために活動中。適正な睡眠時間を確保した場合に、睡眠の後半に多くやってくる。
睡眠改善でまず知っておくべき
睡眠時間は遺伝で決まる
以前ショートスリーパーに注目が集まっていましたが、人それぞれの適正な睡眠時間や朝型か夜型かというのは、遺伝により決まってくることが分かってきました。そのため、ロングスリーパーがショートスリーパーになれない事は受け入れてください。しかし、睡眠の質が悪いとより多くの睡眠時間が必要になるので、適正な睡眠時間を確保しつつ質を向上させていきましょう。
寝始め3時間の質を上げる
夜10~2時は成長ホルモンが出るゴールデンタイムと言われてきましたが、生活リズムが安定している場合は必ずしもそうではありません。
成長ホルモンは寝始め~3時間に分泌=ゴールデンタイムになります。ただし、頻繁に寝る時間を変えてしまうとホルモンバランスが崩れて、ゴールデンタイムに寝ることが出来なくなってしまいます。
【すぐ出来る】睡眠習慣の改善
朝起きたら
- カーテンを開けて、太陽光で体内時計をリセットする
- 常温の水をコップ1~2杯飲む(一気に飲みきる)
睡眠の質を計測
良い睡眠の基準
- 眠りに落ちるまで10~20分以内(寝るまで10分以内の場合、寝不足や就寝時間が遅い可能性あり)
- 夜中に起きるのは1回まで
- 夜中に目覚めても20分以内に再び眠れる
- 睡眠効率85%以上
人の睡眠サイクルは90分とも言われていましたが、実際は人によって60~90分とバラバラです。睡眠計測アプリにある「スマートアラート機能」を利用することで、眠りが浅くなったタイミングで目覚めることができます。
睡眠計測アプリの中でも、私がおすすめするアプリは2つ
■Sleep Meister – 睡眠サイクルアラームLite■
Sleep Meisterは「レム睡眠」「ノンレム睡眠」「覚醒時」を棒グラフで表示できるので、初めて計測する人に分かりやすくなっています。グラフは棒グラフと線グラフを選択できます。ただ、センサー感度を最強にしていても計測不良になりやすいところが難点です。
■熟睡アラーム‐睡眠といびきを計測する目覚まし時計■
熟睡アラームは睡眠のサイクルに合わせて、いつイビキをかいていたかも計測できます。睡眠時間は確保できているのに、疲れが取れてないと感じる方はこちらが良いかもしれません。
私の場合→平均睡眠7.5~9時間でした。ホルモンバランスの変動によって、疲れやすくなったり回復に時間がかかることがあり、1時間ほど睡眠時間が増える週がありました。毎月のホルモンサイクルとは別に、冬場にも睡眠時間が増える傾向がありました。
寝るときの環境
・部屋を真っ暗にする
コーネル大学の研究で、ごくわずかな光が皮膚に当たっただけで体温とメラトニンに変化が起きることが分かっています。寝るときにカーテンはなるべく閉めるようにして、遮光遮音カーテンなどで屋外の光が入らないように工夫すると良いでしょう。もし難しい場合にはアイマスクがおすすめです。
室内の電気は真っ暗にするようにして、気になるようであれば電子機器の光を養生テープなどで隠すようにしましょう。
・パジャマを着ること、素材は綿100%にする
体温調整のしやすさや寝心地の良さは、眠りの質に思った以上に効果があります。パジャマと部屋着を兼ねた衣類が増えていますが、日中に過ごす服装と就寝時の服装は分けることをおすすめします。
「綿100%のパジャマをオススメする理由」
- 管理のしやすさ(こまめに洗えて、耐久性も高い)
- 吸水速乾性に優れているので、寝ている時に暑すぎない寒すぎない
- 適度な伸縮性をもち、寝る前に軽いストレッチができる
- 部屋着と寝るときの格好は分けて、脳に”パジャマ=寝る”モードを刷り込む
寝る前の環境(実例紹介)
睡眠改善の方法としてよく見られるのが、
- 電子機器を寝室に置かない
- スマホ、TV、PCの画面を見ない
- 眠くなったら寝室へ行く ですよね。
しかし、それが出来たら良いですが部屋の間取りによっては難しいこともあります。
我が家は8畳のワンルームで、寝室自体がないですし、そうでなかったとしても現代では実践しづらい方法のように感じます。
なので今回は、私が導入している方法や寝る前の習慣をご紹介します。
《パソコン》
「f.lux」というアプリをDLして、ブルーライトを時間帯ごとに変更しています。win10であればアプリを導入する必要ないので、より試しやすいと思います。
《スマホ(iPhone)》
ブルーライトのカット:「設定」→「画面の明るさ」→「Night Shift」の「時間指定」で寝る4時間前~朝起きるまでの色温度を「暖かく」に設定
夜間の連絡を拒否:「設定」→「おやすみモードオン」→「時間指定」で通知を入れたくない時間を入力する
寝る直前のスマホをやめる:「設定」→「スクリーンタイム」→「休止時間をオン」寝る時間~朝起きるまでを設定
LINEの着信数を見たくないとき:「設定」→「LINE」→通知の「バッジをオフ」※時間帯や曜日ごとに設定できないので、人からの連絡を避けたいときに使用。LINE以外でも同じように設定できます。
テレビはブルーライトをカットしづらいので見ません。
集中すること=交感神経が高ぶる(目が覚める)
集中しなくて良いもの=副交感神経が優位になるので、自分が何をすると集中するかに気づいて寝る前の行動から除外していくと良い。
仕事は寝る2時間前までに。寝る前は集中しない時間であり、自分の時間を過ごすと決めています。スマホの通知なども来ないようにしていますが、もし連絡があった場合には夜間は通知をオフにしていると伝えて、基本的には返事をしません。
どうしても眠れない時、眠れなかった時
- 布団に寝転がったまま、深呼吸で脳を休める
- ホットアイマスクで眼精疲労を回復
- 眠気が来ない場合は一度布団から出る
- 寝れなかった翌日は20分の仮眠を取る(日中働いてる人なら午後3時までにする)
より睡眠の質を上げる方法
腸内環境を整える
腸内には眠気を誘発するセロトニンが多く存在します。しかし睡眠不足になることで腸内環境は悪化、さらに睡眠不足という悪循環に陥ってしまいます。腸は第二の脳とも呼ばれており、睡眠だけでなく調子の良い身体を維持する上でも大事にしてほしい臓器です。
腸を守る
- 加工食品を減らす
- 抗生物質をむやみに使わない
- 食品添加物や保存料に気をつける
- 換気をする
腸を改善
- 発酵食品を食べる
寝る2時間前までに食事を終える
睡眠の質が良くなる食材には様々ありますが、どれもアプローチ方法が違うのでどれが自分に合うかはすぐには見つけにくいものです。
試しやすく即効性があるのは、食事の時間と量に気をつけること。ある程度の消化が終わらないと副交感神経が優位にならないので、食べる時間は寝る2時間前までに済ませましょう。また、食べ過ぎると消化に時間がかかるので、食事の時間が遅くなる場合には消化に良いものにすることで影響が少なくなります。
深部体温を調整する
・38~40度の全身浴を10分以上、熱いお湯なら半身浴で10分
お風呂に浸かることで一時的に深部体温(身体の中の温度)が上がり、徐々に下がっていく際に眠気を誘発します。晩御飯と同じく、寝る2時間前までにすませると、心地よいウトウトした眠気が訪れるでしょう。
子供がいる家庭なら、帰宅後すぐにお風呂に入り晩御飯を済ませ、寝る2時間前に手足を温めると眠気が起こりやすくなります。
1日30分ゆっくり読書する
フィクション小説を1日に30分以上読むことで、精神を安定させる効果があると言われています。速読ではなくスローリーディングで行ってください。メンタルの安定を目的とした場合には、寝る直前に読む必要はありません。
軽い運動やストレッチ
身体の緊張をほぐす事で副交感神経が優位になります。運動から受ける負荷は、人それぞれの運動習慣によって異なります。まずはリラックスを目的としたヨガやストレッチから始めてみると良いでしょう。
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、交感神経を刺激するので寝る前は控えましょう。上昇した体温が、眠りやすい温度に下がるまで4~6時間かかります。
ハーブティー
カモミールには沈静効果があるので、神経が高ぶっている際には寝る前に飲んでみるのもおすすめです。
・カモミール1杯・はちみつ1杯・お好みで牛乳
※キク科の植物にアレルギーある人、妊娠中・授乳中の人は摂取をおやめください。
簡単な耳マッサージ
耳には自律神経を整えたり、内臓の働きを良くするツボなどが多く存在する。どのツボに何の効果があるかを覚えるのは大変ですが、簡単に刺激を加えるだけでも血流が良くなりスッキリします。
- 耳をつかんで上に引っ張る
- 耳たぶをつかんで下に引っ張る
- 耳の根元をつかんで、横に引っ張る
- 根元をつかんだまま耳をグルグル回す(気持ちが良い方向へ)
マインドフルネス瞑想
瞑想は睡眠の量と質の改善に対し、どちらにも効果的であると認められています。しかし2~3ヶ月継続することでようやく効果が得られるという点があるので、他の方法と組み合わせて睡眠の改善を試みると良いでしょう。
睡眠の質が悪くなる【NG習慣】
寝酒をする
寝つきを良くしますが、ノンレム睡眠(深い眠り)が浅くなるので肉体疲労が回復しづらくなります。
寝る前にタバコを吸う
タバコの覚醒作用は1~2時間ほど続きます。喫煙を寝る2時間前までにして、1~2週間ほど続けると決まった時間に眠気が起こりやすくなります。
寝る6時間以内にコーヒーを飲む
カフェインが半減するまでに4~5時間かかります。カフェインの感受性は高い、中程度、低いと分かれており、カフェイン感受性が高い場合は睡眠への影響も大きくなります。カフェイン感受性が低い方は、寝る直前に飲んでも問題なく眠れます。
私は高いので、カフェインを含むものは寝る9時間前までに飲み終わるようにしています。それ以降に飲みたいときはカフェインレスの紅茶にしています。今のところ、美味しいカフェインレスコーヒーを見つけていないのが残念です。
夕食後に強い光をあびる
コンビニの光は強すぎるので、眠りの準備に入るのを妨げてしまいます。なるべく夜はコンビニ行かないようにして、家でゆっくり過ごしましょう。
睡眠サイクルが頻繁に変わる
休日の寝貯めは、普段との差を2時間以内に収めるようにしましょう。決まった睡眠サイクルにすることで、成長ホルモンが出る時間帯が安定してくるので回復しやすい身体になります。
まとめ:HSPになぜ睡眠改善をすすめたいのか?
自分で自分をコントロールできてる感のことを「自己効力感」と言います。HSPは外的な要因に振り回されやすいため、自己効力感を持ちにくい側面があります。自己肯定感の土台となる自己効力感を高めていくことで、気持ちの良い1日を過ごせる自分になりましょう。
参考文献
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AmazonlSLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術
Amazonlまんがでわかる 最高の体調
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